Waltz'n'March

前置き――重要!

勝利するためには、基本的には単純な先限つなぎ足から脱却しなければならない。例えば、当高先安型の相場では、基本的には先限の買い方は有利である。しかし、鞘によるずれのために、本来有利なはずの買いシグナルの発生は遅れ、本来不利なはずの売りシグナルが頻繁に出てしまう。鞘が大きな銘柄においては、先限つなぎ足を使用していたのではそもそも五分の勝負にもならないのである。

ワルツとマーチ

長期間にわたってしつこく続くトレンドにおいては、移動平均を終値がを上回ったら買い、下回ったら売りという単純な戦略で大儲けできることがある。
しかし、大相場が終了した後、中相場で移動平均は散々な目にあってしまう。ここでの損失は結構馬鹿にならない。上げが遥かに大きい形で下下・下下……と続く相場においては、上げ日に買いシグナルが発生、下げ日に買った後に売りシグナルが発生、次の下げ日に売り、また上げ日に買いシグナルが発生ということを繰り返し、馬鹿にならない損失を抱えることになる。最初に大相場で儲かっていれば精神的に持つのだが、現実は厳しい。単純な戦略はワルツが苦手である。

相場の動きが更に小さくなると、上下・上下・上下……という動きになることがある。ここで移動平均を用いる場合に、上げ日で買いシグナル発生、下げ日に買った後に売りシグナル発生、次の上げ日に売り……を繰り返し、全体としては損失は極めて小さくなるし、僅かに利益が出ることさえある。単純な戦略はマーチとも相性がいい。

適用例

マーチがきれいな形で現れるとは限らないが、ある程度その効果を機械的に利用することは可能である。

nを整数とする。一代足または鞘を補正した先限つなぎ足チャート上に過去10n日間の最高値を最安値を書き込んでいく。マーチが発生しやすいのは、10n日高値と10n日安値が接近しあったときである。この接近し合った高値と安値に値動きが3n日間触れることがなければ、なおさらマーチの発生確率は高くなる。

一旦条件が整ったら、その後は10n日のレンジについて気にする必要はない。いずれにしろ、レンジを抜けるはずだからである。ここで10n日のストキャスティクスの%DとSlow%Dのクロスをシグナルとして仕掛けてゆく。わざわざ値動きが穏やかなものに仕掛けるのは、小相場の次に大相場が来る確率が高いからである。

マーチ効果によって、ダマシのような形が連続しても、損失は非常に少なくなる。ときには、結局利益が出ることさえある。もちろん、大相場が発生すれば万万歳である。

出来高薄によるスリッページ(値滑り)はさほど気にしない。スリッページは必ずしも反対側のポジションを取る者の味方ではないのである。

最後の課題は、各相場における適切なnの値を見つけることである。

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