さまざまな市場の特性

市場の特性の理解のためには、まずその市場がそもそもどのような基本的な分類に属するのかということを知る必要があります。基本的な分類とは、カネとモノのことです。

株式や債権はカネです。貴金属や穀物はモノです。通貨そのものは主にカネに属します。

過去10000年という長い年月で考えてみましょう。人類のあけぼのにおいて、取り引きは主に物々交換でした。そこにはカネがほとんど存在せず、価値はもっぱらモノに宿っていました。

おおむね6000年ほど前までには通貨というものが発明され、価値はモノからカネへ移動し始めていました。通貨そのものがその時代時代の貴金属≠ナ作られていましたが、もちろん通貨には地金を超えた価値が込められました。しかしながら、カネとモノは価値の奪い合いにおいて拮抗し、超長期的にはほぼ対等の関係にありました。

最初の転換は、16世紀オランダに資本主義が誕生したことに始まります。この時期にあのチューリップ球根大暴落――1年半ほどの間に、最高値から、価値が20000分の1まで下落――が起こり、モノの買い方は大損失を被ったのです。

モノの中で、一時的に貴金属が強くなったのは、金本位制のためです。特に金は銀の15倍程度から50倍程度にまで値上がりしました。

第2の転換は、もちろん、その金本位制の終焉です。それ以来、カネはますます買い方有利に、モノはますます売り方有利になっています。

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