投機心理
市場は情報を握るものによって操作されています。
異論のある方もいらっしゃるかもしれませんが、私にとって、真実とは実用性です。そして、市場が操作されているという考え方そのものはすこぶる実用性が高い考え方なのです。
たとえば、懐でも述べましたが、たとえば米国株が値下がりすれば、短期的には米ドル高になります。市場から資金が投機家・投資家の懐に戻り、フロート状態の米ドル総額が減少するからです。ここで、投機家・投資家の資金がすぐさま別の市場に大量に流れ込むはずはありません。アジアやヨーロッパがどのような反応を示すのか、彼らは眺めるでしょう。もし日本株が底堅い様子を見せれば、米ドルは日本円に対して売られます。日本株の底堅さを見て米国株を買い戻す動きがこれに重なれば、米ドルは懐から株式市場と通貨市場の両方に流れ込み、対円で暴落します。この動きに乗り遅れた金融機関などが、しばしば、「米国株は堅調な上げを続けており、1年内に1ドル160円をつけるだろう」などと言うわけです。しかし、実際には、このような局面では米国株が上がれば上がるほど、そして、日本株の上昇が遅れれば遅れるほどドル安円高になるのです。
個人投機家・個人投資家が心理的にまず脱却しなければならないのは、金融機関の営業担当者が相場上手であるはずだという思い込みです。もしも本当に相場上手であれば、40代に金融機関で営業などやっているはずはないでしょう。彼らもまた踊らされているのです。
担当者がなにかを薦めてきたら、必ずそれに対して反論しましょう。「金を買いましょう」と言われたら、金を売るべきあらゆる理由を知っている限り、そして、知らなければでっち上げてぶつけてみることです。もしも担当者がそこでひるむ様子を見せず、金を買うことを強固に主張しつづければ、売りの好機である場合が多いのです。相場の先は本来闇の中です。誰にとっても、確信を持って未来を見通せるはずがありません。確信≠ヘ妄想≠ノ過ぎず、それは無残に打ち破られるものなのです。
週刊誌もまたしばしば有効な情報源です。低俗なものであればあるほど、逆指標としての信頼性は高まります。1ドル120円台をつけている頃に1ドル200円説が出たりすればしめたものです。ドル売りを敢行の好機です。
日本の官僚や政治家の不祥事などもまたドル売りのシグナルです。不祥事はそもそもいたるところにあるわけですが、今まで発覚していなかっただけです。不祥事が発覚するようになったということは、日本の政治システムに自浄作用が働き始めたということで、ドル買いはもってのほかなのです。
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